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野村ID野球の基本は人間教育だった。エースの品格・野村克也著


 ID野球で有名なプロ野球ノムさんこと野村克也元監督が、キャンプの最初に学ばせる勉強内容は「人間教育」だそうです。てっきり、ピッチャー心理を読むやり方や、頭脳的なチームプレーなどを最初からみっちりたたき込まれるのかと思っていました。
 
 それで、人間教育とはどんなことをされるのかと言いますと、とくに就任一年目のチームや新人選手たちに毎年このような問いをぶつけるそうです。



「お前は何のために生まれて、何のために野球をしているんだ?」

 当然、ほとんどの選手はそんなことを考えたことがありません。しかし、野村監督は「この世に生まれてくる意味」をはなしかけ、それがきっかけとなり「思考」が始まればよいと思っているそうです。連日1時間以上「人間教育」に基づく講義をおこない、人として生きていくうえで、何が重要でどうすれば成長していけるのかといったことを監督自ら話されます。

 さらに 「人間的成長無くして技術的成長無し」という言葉が何度も出てきました。感じる力 考える力を養っていなければ、行き詰った時に抜け出す術は見つからない。どんなに素晴らしい技術を持った選手でも行き詰らない人はいませんから、その時にいかに考えられるかということだと思います。

それはどういうことか、以下引用です。

プロセスをかたちづくる中心には「思考」がある。それは人間にしか備わっていない崇高な能力である。思考行動を生み、習慣となり、やがて人格を形成し、運命をもたらし、そして人生をつくりあげていく。ようするに、思考即ち考え方は人として生きていくうえでの起点となる概念であり、教育し、経験を摘ませることでその重要性に気づかせることが「育成」の基本である。

 有名選手のエピソードやチームの裏話なども豊富で気軽に楽しく読める本で、気分転換のために選んだ本だったのですが、まさか人間教育などという話が出てくるとは思いませんでした。野村監督が現役引退後、講演を頼まれるようになってから最初は仕方なく毎年数百冊の本を読み高名な学者に師事して学び導き出したチームを強くする最重要課題が人間教育ということが納得できる一冊でした。

 ほかに「個人成績を上げることがチームの好成績につながる」という考えに対して、「まず組織のために身を挺する覚悟が無ければ、組織そのものが成り立たない。」と断言しておられる理由などが、一社会人としても参考になりました。


今日のよかった


何事もまずは人間教育。経営の勉強をしていて、
「どのような知識、経験も最終的に人間としての教育がなされていないと、一時的な対処療法になり本質的な問題解決にはならない」
と学んだばかりだったので、とても心に残りました。