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源頼朝「無理して平氏追討せず楽な生活を送りたい・・・」源平盛衰記


琵琶とシタールの演奏・平家物語も上演:後藤幸浩、ヨシダダイキチ、水島結子(2012.9.30藤円寺・福岡県志免町

 源頼朝は、平治の乱で父義朝が平氏に敗れると伊豆に流罪となります。源氏の棟梁の血筋ゆえ、「源氏再興」を目標に平氏追討を生涯の目標に力をたくわえていたかというと、そうでもなかったようです。

源平盛衰記によると「流罪になって悲しかったけど、今の暮らしもそう悪くない。平氏追討の先頭に立つように期待してくれる人もいるけど、勝算の無い戦いをして死ぬより、このままの平穏な暮らしのほうがいいな」と思っていたらしいです。



死罪の次に重い流罪とはいえ、乳母の実家、かつての家来や、平氏の隆盛を憎しと思う人達から、金銭・食糧などの援助が暮らすに不自由ないくらいはあったとか。人間楽な境遇にあれば無理して危険に飛びこむかというと、後の征夷大将軍で歴史上の超有名人でもなかなかそういかないようです。
タイトルなし
タイトルなし / Kobetsai

鶴岡八幡宮(鎌倉)

 平家物語や日本の歴史でこの時代のことを読んだのは小学生の時だったと思います。当時は合戦の描写に心躍らせていましたが、その後、江戸時代、明治時代の歴史について書かれた本を読むことはあっても、平安、鎌倉時代のものを読むことはありませんでした。

大河ドラマ「清盛」も視聴率は悪いし、いまさら源平盛衰記を読んでも面白くないと思いつつ、本好きの義姉が過去に買った本ということで手に取りました。しかし、人間性、かけひきなどが予想以上に繊細に描かれており、あっという間に読み終えました。「大河ドラマもこの本を原作にして、清盛が毎回無理して登場しなくてもいいような脚本にすればよかったのに」と思わずにいられませんでした。

この物語には、冒頭に書いた源頼朝のぶっちゃけ弱気な告白はじめ、頼朝の父・義朝、後白河法皇、僧・俊寛などおなじみの登場人物のエピソードが章ごとにつづられており、人間のエゴ、、嫉妬、欲望、見栄などが描かれています。ちょうど、最近行われた自民党民主党の党首選立候補のかけひき、思惑と並べて考えてしまえる人間模様です。
小田原の鎧 / YOROI of Odawara
小田原の鎧 / YOROI of Odawara / Vaice-A

 解説によると有名な「平家物語」は仏教の「諸行無常(この世にあるすべてのものはたえまなくうつりかわっており、すこしの間もとどまることはない)」という教えをベースに、平家のおごりたかぶりと、源氏に滅ぼされていく繊細な精神や雅を悲しみ惜しむ気持ちがあるそうです。

 一方今回読んだ、平家物語の異本と言われる「源平盛衰記」は源氏側の記事や興味深いエピソードも数多く取り入れられているとのことでした。喜界が島に流された俊寛と有王の再開シーンなどは、勝つために親子兄弟でも戦う登場人物が多いこの話で、心に残ったシーンでした。


今日のよかった
源平の話は奥が深く面白いということがわかって良かったです。文学の下地にある宗教(今回は仏教)のことなど知っていると、より深く楽しめますね。NHK大河ドラマ「清盛」の過去最低とも言われる視聴率にもめげず是非読んでくさいね。